苦学生は社会の現実(リアル)を知る

新生活に夢を膨らまし、都会のきらびやかな生活に憧れて、田舎から出てきました。

 

大阪は都会です。

1時間に2本しか電車が来ないような場所とは違います。

電車はJRだけでなく、阪急線、京阪線とたくさんあり、なんと地面の下を走る乗り物まであるというではありませんか!

徒歩5分圏内にマクドナルドが2軒もあるというのは、さすがの僕もビックリです。

 

すごいなぁ・・・と感心しながら、大阪市内をあちこち歩き回ったものです。

 

 

僕は都会の夜というものに憧れていて、飲み屋の明かりや人々がワイワイと賑わっている様子を見るのが好きです。

また夜になるとセクシーなドレスに身をつつんだきれいなお姉さんたちが出てきて

「お兄さん飲んでいかない?」

と声をかけているではありませんか!

 

「なんて素晴らしいんだ!ここは天国なのか!?」

と感動したのを覚えています。

 

もちろんお金は持ってないから付いてはいきませんでした。

(もし付いて行って何か注文すれば大金をぼったくられたことでしょう)

 

都会の夜にきれいなお姉さんと横に並んでシャンパンを飲むのは僕の夢です。

一人前になって働きだせばきっと叶う。

人は幸せな未来をイメージするから勉強や仕事も頑張れるというもの。

 

学生しながら働くのは大変

「将来は明るい。必ず今を頑張ればいい未来が待っている。」

このように考えるから人は努力できるのだと思います。

 

受験なんかですよね。

地味でつまらない勉強を必死にやる理由は、自分の生きたい学校に行くためです。

 

今は辛くても、将来は必ず良くなる。

そう思ったので、僕は働きながら学校に通うことを選択しました。

そこら辺の大学生が、ちょっと小遣いを稼ぐ程度のものではなく、生活費を稼ぐために腰を据えて働く必要がありました。

学費は親に出してもらっていましたけど、その他部屋代・食事代・ケータイの通信料・納税その他もろもろすべて自分で稼ぎます。

 

 

 

昼は真面目に学業にいそしむ学生。

夜は店長に罵声を浴びせられながら働くファミレススタッフ。

 

「コンビニの仕事はもう2度とするものか!」

こう思ってはるばる大阪までやってきましたが、バイト1つだけでは意外と苦しいことに気づきます。

 

そこで結局始めたのは早朝のコンビニのバイトです(笑)

朝コンビニで働いた後学校に行って勉強。

その後夕方にもう一度働いて家に帰る。

こういうスケジュールで生活していました。

 

たまに友達と夜中遊んだときは、2時間だけ寝てバイトに行くみたいなこともしてました。

夏休みにはそれこそ1日15時間とか働いていたこともあります。

死活問題だったので。

 

 

レジの内側から感じた違和感

僕が働いていたコンビニというのは梅田駅から歩いて5分。

高層ビルの真下にあるような場所だったのでメチャクチャ忙しかったです。

通常コンビニのレジは店内に2台置かれてあると思います。

僕が働いていた店はまさかの4台。

 

 

朝8時ごろには通勤途中のサラリーマン軍団が長蛇の列を作ります。

出社する前なのでみんなピリピリしているし、列の後ろの方にいるお客さんなど不機嫌そうなオーラを僕の方に送ってきます。

お客さんが余りにも多いので、忙しい時間帯は出入り口のドアを開けっぱなしで営業していました。

 

3時間レジに張り付いて動けないということもザラです。

何十人も連続で

「いらっしゃいませ」

「ポイントカードはお持ちでしょうか?」

「お弁当は温めますか?」

なんて聞いていると頭がおかしくなってしまいます。

 

 

そして連日のように働いているとあることに気が付きました。

 

毎朝同じ時間に同じ人がやってきて、毎朝同じような商品を買っていくのです。

  • おっさんAはタバコとコーヒー。
  • 天パ眼鏡のお客さんはお菓子とカップ麺。
  • おばさんBは肉マンとお茶。
  • 太っちょ男Cは唐揚げとコーラ。

・・・みたいにパターンが分かってくるのです。

 

お客さんが言うより早いタイミングで、僕がタバコを取り出すとビックリされたものです。

 

 

そしてもう1つ気が付いたことは、サラリーマンたちの多くは目が死んでいるということです。

 

中には生き生きと爽やかな雰囲気の人もいるのですが、僕の体感で6割くらいの人は顔の表情が暗いです。

一人一人会話をして確かめたわけではありませんが、

「これから仕事か・・・。めんどくさい・・・。」

みたいな空気を肌で感じました。

 

 

学校や仕事が終わって夜10時ごろに電車に乗ると、そこにも同じような表情をした会社帰りの人たちがたくさんいました。

満員電車にぎゅうぎゅう詰めになって、片手にはスマホを持ってパズドラなんかをしながらぼーっと突っ立っているのです。

横からそろ~っと顔を覗き込むと、仕事疲れで眠いのか目は虚ろになっていました。

 

 

僕も学校を卒業したら、就職してスーツ来て働き、会社や社会に貢献できる立派な人間になる。

お金もたくさん稼いで、肩で風を切って歩けるようになりたい。

 

そう心のどこかで思っていたのですが、レジの内側から見た現実は僕の理想とどうもかけ離れているようです。

 

 

毎日朝から晩まで仕事に忙殺されて、覇気のない顔付きになっていく。。。

「これはちょっと嫌だなぁ。」

こう思いました。

 

 

僕は働くことが好きです。

働いていると新しい人間関係が作れるし、最初のうちは大変でも慣れるとどんどん楽になります。

接客もハマれば楽しさが分かったし、仕事が上達するのは嬉しいことです。

 

 

けれど同じ仕事を毎日毎日繰り返して、完全に覚えてしまっては飽きてしまいます。

 

 

毎日毎日マニュアルに従ってレジをうち、店の前のパンパンに膨れ上がったゴミ箱を片付け、いつもの時間にいつものお客さない手に同じことの繰り返しを行う。

「いらっしゃいませ」

「ポイントカードはお持ちでしょうか?」

「またおこしくださいませ」

これら機械的なことを朝から晩まで毎日繰り返す。

 

「何が楽しくてこんなことやってるんだろう・・・自分は・・・。」

 

そして満員電車に揺られて、しょぼくれた顔をした会社帰りのサラリーマンの横顔を覗きます。

「こんな大人にはなりたくないなぁ」

・・・と思いながら家に帰って鏡を見てみると、僕も彼らと同じ顔をしていました。

最初に持っていた新生活への新鮮味も徐々に消えていっていました。

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